デング熱の予防接種セミナーが3月16日、バリ日本語補習授業校のある「万亀子・ラドムセンター」(バリ日本人会Jl. Kutat Lestari No.26XX, Sanur Kauh)で開かれた。
バリ日本人会が主催しカシイブ総合病院の協力の下で開いた同セミナーでは、同院の内科医で熱帯病のスペシャリストでもあるアグス・ソミア医師が、デング熱やワクチンについて分かりやすく説明。ドクターによるレクチャーの後は質疑応答の時間を設けたほか、日本人スタッフによる説明もあった。
デング熱はデングウイルスを媒介した蚊に刺され感染するもので、南米や東南アジア、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域で流行しているウイルス疾患。発症すると高熱、頭痛、吐き気、食欲不振、関節痛、倦怠(けんたい)感を伴う。血小板が減少し肝機能障害を起こすほか、体内で出血すると重症化の場合は死に至ることもある。デングウイルスは1型から4型まであるため、4回感染する可能性が誰にでもある。妊娠中に母子が感染するとおなかにいる胎児にも感染してしまう。治療薬はなく、1週間ほどで退院できるが倦怠感が続き完治には時間がかかる。
2023年1月~11月のインドネシア全土での感染者数は8万3302人、うち死亡は574人に上る。常夏のバリ島では一年を通して気をつけなければならないが、特にの雨期の終わりに差しかかる今ごろは他の時期と比べると感染者が3倍ほどに増える傾向にある。同院でも3月に入り、デング熱感染者が急増しているという。
現在インドネシアで承認されているワクチンは2種類で、同院で取り扱っているのはインドネシアで2023年に販売が始まった武田薬品が開発した生ワクチン。
「デング熱は、初回は軽くても感染歴がある人の方が重症化する傾向があるので、このワクチンはもう一種類のものと違い感染歴がある人でも摂取できるのが特徴」とアグス医師は話す。
ワクチン予防接種の対象年齢は6歳~45歳。初回の接種から3カ月後に2回目を接種する。同院でのデング熱の予防接種は月曜~金曜(要予約)に受け付けている。