バリ島で唯一かぎ針編みのみを専門に扱う店として日本人が初めてウブドに開いた「kunci」が12月19日で12周年を迎えた。
オーナーの妻、佳代子さんは12年前の10月にバリ島に移住し、その2カ月後に同店をオープン。当初は職人が持ちこんだ帽子を売っていたが、自らデザインに携わるようになってから売り上げが伸びたこともあり、以来、デザインと品質管理全般を担当している。インドネシアの他の島に制作を依頼する店が多い中、同店は全てバリ人による手作り品にこだわり、バリ人との共同作業という立場を貫いている。
初めはコットンのビキニしか編めない職人だったが、もともと手先の器用なバリ人は佳代子さん指導の下、見る見るうちに腕を上げていった。より繊細さを出すために思い切って日本から麻の糸を輸入し、高度な模様の商品制作も始めた。大判のショール(186万インドネシアルピア)は熟練の職人でも1カ月ほど制作日数を要するという。輸入糸で作った商品やアクセサリーを扱う店として新たに「nu crochet」も約6年前、同じくウブドに開いた。
こうした商品の品質を見込まれ、バリでは陶器の老舗として有名な「ジェンガラ」から依頼を受けコラボレートした商品も誕生した。
店頭では現在、12周年を記念して開店当初から一番人気商品を詰め合わせたセット商品を特別価格で販売している。
「今後もバリ人による手作りのみを扱いたいが、ホテルやレストランで働きたがる若い子たちの職人離れが多く、長い目で職人としてやっていける人材を見つけることが今後の課題」と佳代子さん。