バリ島で3月8日の大みそか、新年を迎える前の悪霊払いの儀式「Ogoh Ogoh(オゴオゴ)」のパレードが行われた。
オゴオゴは、日本でいう節分の鬼のような存在。オゴオゴのパレードは毎年この日、バリ島中の各村で行われる。
オゴオゴは形相や姿が恐ろしい精霊を模した大きな人形で、バリでは村の各バンジャール(町内会)が力作を作る。それは恐ろしく、迫力の形相が特徴だ。どこのバンジャールも「一番すごいのを作りたい」と、チームワークで2カ月ほど前から、青年たちが来年のオゴオゴ作り企画会議を重ね、力を合わせて作り上げる。
数十人の青年たちが竹竿(たけざお)を組んだオゴオゴみこしを担ぎながら、ガムラン隊の後を力強く駆け回る。ガムランの音を悪霊たちは嫌がり、オゴオゴ人形の中に逃げ込む。その時、オゴオゴには本当に生命があるかのように、恐ろしい形相で揺れ動く。「この人形が恐ろしいほど、その中に悪霊が入り込んで来る。時には勝手に動き出すこともある」と、サヌールのバンジャール・バトゥジンバーのMadeさんは話す。
悪霊を封じ込め、役目を終えたオゴオゴは、間もなく海岸で燃やされてしまう。
この幻想的な奇祭は世界にも知れ渡り多くの観光客を魅了。最近では、バリ州政府が存続を奨励するために、優秀オゴオゴを表彰するにあたり広場やメーンストリートでコンテストを開催。寸劇付きの盛大なパフォーマンスもあり、大勢の見物客が訪れる。
煙幕の中の演技や点灯する仕掛けのもの、水を噴射するものなど、奇抜なアイデアに歓声が上がる。その後も深夜まで、オゴオゴはたいまつに照らされながら、村中を暴れながら行脚。
この日が明けるとバリは、静寂の元日「ニュピ」を迎える。