
日本人伝統工芸作家や茶道家による一日限定のエキシビション「リビングハンズ・フロム・ジャパン」が6月16日、ウブドのバンブーインダーリゾート(Jl.Baung, Sayan, Ubud)で開催された。
ウブドの豊かな自然の中にある宿泊施設「バンブーインダー・リゾート」。グリーンスクールの創始者であるジョン・ハーディーさんが設計した、竹を使った、サステナブルで自然環境と調和のとれたエコロジカルな施設。自然と共に生きる暮らし方など日本の伝統工芸技術の神髄となる考え方との共通点があることから今回のエキシビション会場となった。
エキシビションには3人の伝統工芸作家と1人の茶道家が参加。後継者不足が深刻な鍛冶屋の技術を後世に受け継ぐことができるよう、デザイン、刃物職人の後継者育成、海外流通などトータルコーディネートで鍛冶の伝統的な地場産業を守る取り組みを行っている小林新也さんは、アムステルダムで立ち上げたMUJUNの代表を務める。
シルクの草木染を紹介した小森優美さんはファッションデザイナーで、日本の絹織物の服作りで自然と人の生態系を育む共創プロジェクト「MORI WO ORU」の設立者。漆職人の堤卓也さんは京都で100年以上の歴史を持つ漆店の4代目。古くは縄文時代から塗料や接着剤として使われてきた日本人の生活になじみの深い漆の魅力を再認識してもらうためにワークショップを開いたり、植え、育て、創る自然と共に生きる日本人の本来の暮らし方を次世代へとつなぎたいという思いで活動している。
茶道家の松村宗亮さんは、書籍やユーチューブなどで茶道の茶の湯について日本語と英語で分かりやすく伝えているほか、日本国内や海外で茶会を開くなどして活躍。今回のエキシビションでは実際にお茶をたて、振る舞いながら茶の道や使われる道具について説明した。
日本の伝統工芸家の「人と地球に優しい循環型のものづくり」の形が近年、サステナブルでエシカルなライフスタイルに関心を持つ海外の人たちに再認識され広がりを見せている。そうした中、今回のエキシビションでは、バリ島に住む多くの外国人が訪れ、日本の工芸品を実際に手に取り熱心に耳を傾けていた。