4月8日に神戸を出航した世界一周クルーズ船ピースボート「パシフィック・ワールド号」が4月22日、バリ島のべノア港に寄港した。
ピースボートは国際交流を目的とした船旅をコーディネートするNGO団体。1983(昭和58)年の初出航から40周年を迎える。
コロナ禍以降3年ぶりとなる初の日本発着の地球一周クルーズとなった今回の再出航は、ピースボートクルーズ史上最大の大型客船「パシフィック・ワールド号」での114回目の船旅となる。4月7日に横浜港を、8日に神戸港を出航した同船は13日、フィリピンのマニラを訪れ、22日に2カ国目となるインドネシアのバリ島に入港した。
世界17カ国22都市を巡る108日間の船旅の乗客は約1400人。そのうち日本人が9割を占め、年齢層は1歳~96歳と幅広い。リピーターは3割を数える。今回の目玉の一つとなったのが、20日にインドネシア東ティモール沖での金環皆既日食。雲のない最適ポイントで360度さえぎるものがない洋上で天文学者のレクチャーを交えた天体ショーでは、デッキに集まった乗客が歓声を上げたという。
バリ島への寄航はわずかな時間だったが、現地旅行会社とのタイアップで事前予約した人たちは用意された大型バス30台へ乗り込み、各地へ観光に出かけた。自由行動する人たちや船に残る人たちなど、思い思いにバリ島での時間を過ごした。
べノア港停泊中、行政関係者などが船内に招待され歓迎式典が行われ、チョコルダ・オカ・アルダナ・スカワティバリ州副知事と在デンパサール勝又晴美総領事官らが出席。式典でピースボートクルーズの主催旅行会社ジャパングレイス取締役の山本隆さんは「2020年1月にこのピースボートが寄航したのもバリ島。その後コロナ禍で中止を余儀なくされたが、3年ぶりの世界一周の旅の再出航で、こうして再びバリ島に来られたのは大変感慨深い。このシップには多くのインドネシアの人たちがクルーとして乗船している。これからもわれわれはインドネシアと日本の架け橋となっていきたい」とスピーチした。
同船は今回、ウクライナ避難民への人道支援も行っており、クルーズ参加者がギリシャで本線を一時離脱してルーマニアの支援団体に支援物資を直接届けるほか、ルーマニアに避難しているウクライナ人とも交流するという。中東やエジプト、ヨーロッパ、北欧南アメリカ、ハワイを経て日本に帰港するのは、横浜港=7月23日、神戸港=同24日の予定。