スマラ・ラティ舞踊楽団を支援するオンライン・イベントが9月25日新月の夜、日本のバリ舞踊ファンに向けアノムさんの自宅兼練習場(Jl.Kejang, Ubud)で開催された。
スマラ・ラティ舞踊楽団は海外での公演経験も豊富で、実力と人気を兼ね備えている舞踊楽団。特に日本へは何度も訪れていて日本のファンも多い。しかし新型コロナウイルスの世界的パンデミックで状況は一変。そんな時、同舞踊楽団の創立者であるアノムさんが親友のウブド在住30年以上の伊藤博史さんに「コロナ禍で厳しい状況下にいる楽団員らを何とかサポートしてもらえないか」と相談したことがきっかけとなり、このバリ島の舞踊楽団を支援するオンライン・イベントのプロジェクトが始まった。
1回目のオンライン公演が終わると、たちまち他の楽団からも支援要請の声が掛かり、現在はスマラ・ラティ舞踊楽団の他、グヌンサリ舞踊楽団、ティルタサリ舞踊楽団、スアールアグン舞踊楽団など5つの舞踊楽団を支援している。オンライン・イベントの開催は不定期だが、コロナ禍で観光客の姿がバリ島から消え、公演はおろか練習さえも思うようにできない厳しい状況下の中にいた彼らにとって、こうしたオンラインの支援イベントは希望の光となっていた。
スマラ・ラティ舞踊楽団創立者のアノムさんは現在57歳。地元の人から「アノム・バリス」と呼ばれるほど、バリ舞踊の中でも男性が踊るバリス舞踊において一目を置かれる人物。バリス舞踊に関する研究論文を現在作成している。
「バリスを踊れる人は多くいるが、一つ一つの動きや仕草、衣装や音楽など、どのような意味が込められているかという深い部分まで知る人は少ない。本当の意味でのバリス舞踊の精神が失われず後世に受け継がれるよう、論文を書いている」とアノムさん。バリ舞踊は踊りながら口頭で伝え継承されてきているため、文献として残っている物がほとんどないという。今回のイベントは、その研究論文の作成を支援するイベントにもなっていた。
現在、観光客が戻りにぎわいを見せているウブドでスマラ・ラティ舞踊団も定期公演を再開したが、もともと日本人のファンが多いため、日本人観光客の姿のない会場はやはり観客数は少ないという。
スマラ・ラティ舞踊楽団はウブドのプラダレム寺院(Pura Dalem Ubud)で毎週土曜19時30分~21時に公演を行っている。入場料は10万ルピア。
次回のオンライン支援イベントは10月9日19時(日本時間)から、生配信「ケチャッを受け継ぐ未来を応援しよう」を予定している。