バリ島で真っ白い「ホワイトマンゴー」の異名を持つ「ワニ」の季節がやって来た。
バリ島では10月~3月ごろがマンゴーのおいしい季節だが、1月に入ると白いマンゴーが旬を迎える。「ホワイトマンゴー」と呼ばれるが、バリでの正式名は「ワニ」。マンゴーの仲間で、学名は「Mangifera Caesia Jack」という漆科の木の果実だ。見た目はマンゴーとそっくりだが、果肉の色は真っ白で味も異なる。バリ島では古くから存在するが、いつの間にか減少し、スーパーではめったにお目にかかれない希少な存在になりつつある。バリ島に在住する日本人や欧米人でも、その存在を知る人は少ないようだ。
肉質は濃厚でねっとりしているが、味は甘酸っぱく、乳酸菌飲料のような爽やかな味わいが特徴。みずみずしく、切り分ける時から白いジュースが滴り落ちる。半分凍らせて食べるとアイスクリームのような食感になる。ジュースやスムージー、サラダのドレッシングにしてもおいしい。
あまりにもおいしいので、バリニーズは家族や近所で食べてしまい、都会ではあまり出回らないが、この季節に気をつけて見ていると、たまに市場や露店で見かけたり、トラックで運んできて直売しているのに出くわす。
ワニの木は30~50メートル位までの大木になり、家具の材木にも向いている。熟して食べ頃になると甘い香りを放つ。芳香と手触りを頼りに採集する。アジアでは若いマンゴーのサラダや炒め物をよく食べるが、未成熟なワニは固くて料理にも使えないほど。食べ頃は木から落ちるころで、バリニーズは落ちそうなものにビニールをかぶせて自然に落ちるのを待つ。熟しすぎると酸味が増し、発酵し、ますます乳酸菌ヨーグルトのような味になる。バリの家庭ではワニをおかずにすることもあるという。
1月から3月までが旬。1個100円前後。