バリ島で鉄製品を供養する行事「トゥンペッ・ランドゥップ」 愛車などをおめかし

愛車にお供え物をし飾りをつけて慰労する

愛車にお供え物をし飾りをつけて慰労する

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 バリ島全域で12月12日、車などの鉄製品を供養する行事「TUMPEK LANDEP(トゥンペッ・ランドゥップ)」が一斉に行われた。

正装して飾りを取り付ける

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 バリ・ヒンズー教にはアミニズム(地球上の物質全てに魂があるという思考)の観念があり、植物や無生物の精魂を尊重する。その一環で鉄製品に感謝をする日、トゥンペッ・ランドゥップが1年に2回行われる。

 一昔前のバリの鉄製品といえば農耕具や包丁や鍋、縫い針、釣り針などで、それらの暮らしの小道具を慰労し感謝する日だった。しかし、経済成長著しいバリ島の鉄製品はいつのまにか主に車やパソコンになった。現代は「トゥンペッ・ランドゥップは車を供養する日」という感覚に移行している。最近では一家族で数台の車を所有することも多く、高価なスポーツカーを庭に並べて盛大にスンバヤン(供養の儀式)を行う光景も見られる。

 スンバヤンは各家庭で7時~20時に行う。 スンバヤンの前に車やバイクを洗いピカピカにしておく。そして飾り布をかぶせてココナツの葉を使い細工を施したバンタンと呼ばれるお飾りをサイドミラーやナンバープレートに取り付け正装し、お菓子やフルーツを置いてお香をたく。

 そこへマンクー(僧侶)が訪れ、マントラをささげてティルタ(聖水)をかける儀式を行う。マンクーは1軒500円程度のお布施を受け取る。1日に20軒程掛け持ちすることもある書き入れ時でもある。 旅行会社や観光バス会社の社屋には車両がズラリと並べられ大量のお供え物をささげる。空港では飛行機も供養。スンバヤンを終えた鉄の道具は故障せず長持ちするといわれる。

バリ島の暦はウク暦という1年を210日周期で数える独特な暦と、サカ歴という月の満ち欠けに沿った暦の両方を取り入れて宗教行事が遂行される。トゥンペッはウク暦で大変縁起のいい日に当たる。

 供養を終えた車やバイクは、美しいお飾りをなびかせて街をさっそうと走る。

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