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バリ島一斉の祭日「ガルンガン」に「闘鶏の儀式」

大事な鶏を毎日マッサージする

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 ヒンズー教の大祭「ガルンガン」の2月10日、バリ島ではニワトリの決戦「闘鶏の儀」が開催される。ガルンガンはバリ島の「お盆」に当たるウク暦の祭日で、今年は2月10日と9月7日。

熱気あふれる闘鶏会場

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 闘鶏はバリ語で「タジェン」という。バリヒンズーの宗教儀式の一つで、邪悪な神様を沈めるための献上の儀。その歴史は古く、16世紀の絵画にも描かれている。

 バリ州全域のバンジャール(町内会)ごとに「カランガン」と呼ばれる闘鶏場が存在する。特にガルンガンの日のタジェンは盛大で、村によっては1000人にも上る男たちの熱気が渦巻く。

 まずは土俵を清める儀式から始まり、特注のかごに入った鶏をかかえた男たちが入場。男たちは、「アヤム・アドゥアン」という闘鶏用の鶏をこの日のためにマッサージし、特別な餌を与え、時には高価な栄養注射を打ち、手塩にかけて育てる。試合寸前に、「タジェ」と呼ばれる特注の鍬形(くわがた)の小刀を鶏の足に糸でしっかりと巻き付ける。このタジェが武器となり死闘に至らせる。

 ゴングが鳴ると観客たちは一斉に息をのみ、会場は静寂に包まれる。鶏は首元の羽根が逆立ち、翼を大きく広げ、空中格闘を見せる。一瞬にして一羽が倒れることもあれば、負傷しながらの長期戦もある。惨敗した相手をさらに攻撃する鶏もいる。2羽とも討ち死にしてしまう場合もある。

 タジェンは現在、宗教儀式以外でも日常的かつ非公式に開かれており、バリ男性の娯楽の場になっている。常設のカランガンには四角い土俵を囲むように観覧席があり、競技を見下ろすことができる。周囲には軽食スタンドが立ち並ぶ。入場料は1万ルピア、特等席はさらに2万ルピアを支払う。

 「男たちがタジェンに出向く時、妻や子どもが行き先を尋ねてはならぬ。もし尋ねたら鶏が死ぬ」という、男性にとって都合がいい言い伝えがある。会場は女人禁制だが、外国人女性は見学できる。

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