インドネシアの環境省が11月、2016年よりレジ袋有料化の社会実験を始めると発表した。
ジャワ島のスラバヤ・バンドン・スマランの3都市とバリ島のデンパサールの計4都市での先行実験となる。1月から周知に努め、これら4都市で導入を成功させた後に、インドネシア全土へと広めていく計画だ。
背景にはインドネシア最大の悩みともいえるゴミ問題がある。生分解されないプラスチックゴミは、処理を安価な埋め立てに頼るインドネシアにとって非常な重荷となってきている。ゴミ処理のコスト負担を嫌う風潮と長年のポイ捨て文化により、インドネシアでは全ゴミのうち8%弱が川や海に捨てられる。
今年2月に発表され世界的に話題となった科学論文によると、世界の海洋投棄ゴミ排出量でインドネシアは中国に次いで2位となった。最新の数値によると、インドネシアが年間で洋上に排出するプラスチックゴミは推計322万トン。首位の中国は882万トンだが、約6倍の人口比から考えるとインドネシアの“健闘ぶり”が目立つ。
レジ袋消費量でもインドネシアは世界の“トップランナー”だ。国民1人当たりの年間レジ袋消費量は約700枚。日本の250枚やEU平均の170枚(旧西側圏内に限ると100枚以下)と比べると、その消費量の多さに驚かされる。この汚名を返上するべく、インドネシア政府はようやく重い腰を上げようと決意した。
近年、若い世代を中心に環境問題への意識が高まり、親世代には見られなかった価値観が浸透しつつある。特に物心ついた時から外国文化が身近な存在となっていることは非常に大きい。多くのNPOが生まれ、ゴミ問題に取り組み、その規模を拡大しながら政治的パワーも持つようになってきた。
バリ島のグリーンスクールに通うバリ人の姉妹が始めた運動「バイバイ・プラスチック・バッグス」はその代表格ともいえる。美しかったバリの景色がプラスチックゴミに汚染されていく姿に心を痛めた姉妹は多くの人々に「レジ袋廃絶」を訴え、州知事にも直談判を重ねた。海外のプレゼンイベントにも積極的に登壇し、バリの“不都合な真実”を正直に伝え、活動に協力を求めた。